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内定取消は怖くない!リスク回避のポイントを人事&社労士が解説

こんにちは、現役上場企業人事/社会保険労務士のRYOTAです。


昨今、各企業で新卒採用にも変化をもたらそうとする動きが目立っていますね。

大手企業では新卒から年収1,000万提示をするなど、一昔前では想像もできないような条件もあります。

終身雇用や年功序列のような、いわゆる日本的雇用慣行からの脱却、人材流動化を前提にしたジョブ型雇用の導入など「人」に関する動きは、いつの時代も景気や経済の動向をすぐに受け、流動性が高いと感じます。


各企業が毎年実施している新卒採用の手法についてもWEB面談などを積極的に取り入れており、双方のタイムマネジメントも大きく変化していると感じるようになりました。

面接をしている側からすると、あの対面における「リアリティー感」がどうも薄れて、やりにくいなぁと思ってしまうことも多々ありますが、これも時代の流れというものでしょうか。


さて、夏も終わりに近づき秋になると内定式などを実施する企業が増えてくると思いますので、今回は採用活動に絡む「内定」にフォーカスし、労務管理の視点から書いてみたいと思います。

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目次[非表示]

  1. 1.採用活動のフロー(新卒採用の流れ)
    1. 1.1.よくある!内定後のおけるトラブル
  2. 2.そもそも内定と内々定の違いとは?
    1. 2.1.内定とは?
    2. 2.2.内々定とは?
  3. 3.内定取消は違法なのか?
    1. 3.1.内定取消の方法
    2. 3.2.リスクを回避した内定取消を知っておくべき!
  4. 4.さいごに

採用活動のフロー(新卒採用の流れ)

まずは「内定」に至る一般的な新卒・中途の採用は、下記のようなフローになると思います。

「エントリー → 選考 → 面接 → 内定 → 内定通知 → 承諾 → 入社」


多くの会社・学生はこのようなフローに則り、毎年進めていくわけですが、新卒採用は、基本現役の学生を相手に進めるため、採用人数が多くなればなるほど、色々な問題が出てきますよね?!


よくある!内定後のおけるトラブル

優秀な学生と会社がマッチングし、無事に「内定」を出すところまでは順調なものの、新卒採用は内定後から入社までのリードタイムが中途採用などと比べてかなり長いものとなります。

そのため、内定後にトラブルが発生するケースなど比較的多くなってきます。


その代表的なものとしてよくあげられるのが・・・

「卒業できませんでした・・・」

「留年決定です・・・」

「単位が足りないことが判明しました・・・」


いわゆる「留年」というものです。

採用にかかわる方であれば、少なからず経験があるのではないでしょうか?


一般的に4年間で単位を取得するということは、個別の事情はさておき、学生の中でも「与えられた時間」という平等な要素が大きく、社会人になっても一定程度求められる「先見性」「計画性」という能力にもリンクします。


会社からすれば・・・

「内定出したけど、卒業できないなら取消していいよね?」(=内定取消)

となると思います。


この「内定取消」というものを「内定」「内々定」の性質と併せて、実務上の視点からもう少し見て行きたいと思います。


そもそも内定と内々定の違いとは?

内定取消に触れる前に、まず「内定」の法定性質について簡単にですが補足しておきたいと思います。

内定とは?



「内定」とは、求職者の申込み(求人応募)に対し、企業が採用を決めて内定通知等を出す(契約の承諾をする)ことです。

この承諾により、申込みと承諾が合致して「一定の条件付きで労働契約が成立」することとなります。


なお、「一定の条件付き」という書き方をした理由としては、入社までの間に会社が知ることができない事実がある場合や、卒業要件や業務に必要な資格要件等が足りないなどの事実がある場合には、一定の合理的な理由がある前提で、その内定を取消すことも可能という意味合いとなっています。


ただし、この内定に関して定めている法律というものは存在しておらずその考え方や解釈は、過去の判例等により判断されるものとなっています。


一口に「内定」と言っても、その実態が多様であることから、具体的な事実関係をもとにして判断されていることが現状であり、あまりこのような言い回しは個人的にも好きではないのですが、いわゆる「ケースバイケース」というものになってきます。


実務上で「内定」は、ほぼ労働契約と同義になりますので、会社都合で理由もなく勝手に取消すこと、提示していた条件などを変更することは、トラブルのもととなるので「内定」を出す際には慎重に検討の上進めていただくことが賢明です。


内々定とは?

一般的には「内定」と同義のように受け取られやすい「内々定」についても少し触れておきます。


先に述べた「内定」は「労働契約の成立」を意味するものとなりますが、「内々定」については、あくまでも正式な内定までの間「新卒者をできるだけ囲い込んで他企業に流れることを防ぐ事実上の活動」と位置づけられていることから、労働契約の成立とまではみなされていません。(=雇用契約ではない)

これは過去の判例※からも読み取れる内容となっております。


ただし、「内々定」をする際にも「内定」と誤解されないように、採用を確信させる内容ではなく、後に正式な「内定」が予定されていること明記し、具体的な労働条件の提示などはしないように対応することが重要になります。


表面上の言葉ではなく「実態がどのようになっているのか」を見られますので、運用する際には十分ご注意ください。

※平22.6.2判決 福岡地裁 コーセーアールイー事件


内定取消は違法なのか?

上記のとおり「内定」の性質から、労働契約が成立しているものとなるので・・・

卒業できないから。という理由で・・


「内定取消とかしちゃっていいの?」

「あとで訴訟とかにならない?」


など心配もあると思いますが、そこはご安心ください。


新規学卒者の採用は「卒業」が前提条件となっているのは言うまでもなく、成績不良による卒業延期であることを理由とした内定取消はやむを得ないと考えられています。


過去長い歴史の中で労働市場においても、このような内定取消は一般的な慣行として広く行われていることからすると、採用の内定取消が違法・無効になる可能性は限りなく低いです。


会社側にも何らかの過失(一方的な取消や調査の怠りによる取消など)がある場合には色々と問題が出ますが、卒業できないことは基本的に内定者都合100%となるので、そこでの争いの余地はないものと考えられます。


内定取消の方法

上記から本人都合という前提のもとで採用内定の取消を書面にて行うこととなると思いますが・・・


ちょっと待って下さい!

すぐ内定取消の書面を送りますか?


もちろん、卒業できない人は内定取消になり、内定取消の文書を送って終わり。という運用でも間違ったことにはならないと思います。(むしろ、それが一般的な運用ではあります)


ただ、会社(人事)の立場からすれば、それでも何か後々言ってくるかもしれないということも考えて、「本人から内定辞退」という形の書面に変えておいた方が賢明ですね。



リスクを回避した内定取消を知っておくべき!

どのような内容に変更をするか端的に言いますと・・・


「卒業できないようなので、内定を取り消しますね」というものから

「自分が卒業できなかったので、採用内定を辞退させていただきます」


という形式にしておくというものです。



仮に第三者がみても・・・

「いや、これ自分で内定辞退って書いてあるし、会社から内定取消なんて書いてないよね?」

というツッコミが入るようにしておくイメージです。


日常生活で例えると・・・

よく飲み会の後に、女性が男性から誘われて・・・のシーンに置き換えていただけるとわかりやすいと思います。

その翌日に女性同士での他愛もない会話の1シーンで・・・

「昨日さ、飲んでたら男がもう1件ハシゴしようって言ってきて、口説かれて気づいたら、一晩明かしちゃってさー笑」

このようなシチュエーションで「男性=会社」「女性=内定者」に置き換えてみると・・


本当のところはさておき、「内定取消」の書面だと見え方的には、「男性(会社)→女性(内定者)」と男性の意志になりますが、そうならないように「内定辞退」という書面を用いると「女性(内定者)→男性(会社)」と変わり、女性の意志によるものとなり、あくまでも内定者から自発的な行動があったということになります。


少し脱線しましたが・・


本人が失踪して一切連絡が取れない場合などはさておき、基本的には事前連絡の上で、内定辞退書面を来社して書いてもらうことが良いと思います。

どうしても不可能な場合のみ送付して、後日返送させるという流れになります。

解雇にせよ、内定取消にせよ、会社からアクションを起こすような形をできるだけ取らない。という選択肢を持っておいた方が後々のリスクを回避する意味でも良いでしょう。

会社からアクションを起こすと、揚げ足を取られる可能性があるので、この辺りの運用は慎重に行うに越したことはありません。


なお、卒業できない場合は、基本的に争う余地がないと記載はしましたが、その他下記のような場合にも応用して使える可能性はあります。

(明らかに本人に非があり、客観的に見ても合理性があるという場合ですのでご注意ください)

・健康状態の悪化、疾病等により就業不能な場合

・書類の虚偽申告や提出の督促に応じない場合

・留学生ビザから就労ビザへの資格変更ができない場合

・内定通知以降に発生した事情が従業員として不適格と認められる場合  など


もちろん、どの場合も100%争いが起こらない。という保証はできませんが、少しでも後々のリスクを回避でき、かつ、客観性を具備するには「会社から内定取消通知をする」よりも「本人から自分で辞退をする」という形にしておいた方が良いと思います。


さいごに

内定者(=学生)基因で卒業できないことによる内定取消については、基本的にトラブルとなる要素はほとんどないですが、実務でどのように対応するかは再度見直しておいてもよいのではないでしょうか。


また「内定」を出して安心。というスタンスではなく、入社前のタイミングで適宜成績証明書や卒業証明書などを提出させておくことにより、早期の対応や留年(卒業不可)リスクを回避させることなども人事の役割だと思います。


1つの会社に入ることは、人生の中でも大きな岐路となりますので、入社前から双方いい関係を保てるように計らうことは申し上げるまでもありませんね。

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RYOTA
RYOTA

現役の上場企業人事/社会保険労務士 企業内・外の視点を持ち合わせ、労務管理を常に会社目線で考え最適解を導き出し、労働法令を超攻撃的に使うことを得意とする。 「上場企業人事×社会保険労務士×IPO経験者×特例子会社代表取締役×リストラコンサルタント」という5つの顔を持ちながら、 株式会社Scrap&Buildの代表取締役も務め、執筆の他、企業顧問、研修講師、IPOコンサル、リストラなど最前線で活動中。


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