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休憩時間は必須!休憩の正しい運用ルールを社労士が解説!

こんにちは、現役上場企業人事/社会保険労務士のRYOTAです。

リモートワークの導入も数年前に比べると進み、オフィスに来ることが当たり前。という発想も時代遅れになりつつあるのかもしれませんが、普段何気なく働いていると「朝会社に来て、昼になったらランチ休憩をとり、また午後から仕事を開始する」というような光景は今も変わらずに残っていると思います。

ただ、働いていると忙しい時期も当然ありますし、急な案件が舞い込んできて「ゆっくりランチなんかしている場合じゃない!」などということも大いにありえるのではないでしょうか。
そのような時、皆さんの会社では無理にでも「休憩」を取っていますか?もしくは、今日はいいや。という感じで決められた時間は取らずにやり過ごしていますか?

労務管理を細かく見ていくと、この「休憩」の概念が曖昧になっていて、後々労使でトラブルに発展することも実は多かったりしますので、今回は「休憩」について触れていきたいと思います。

目次[非表示]

  1. 1.休憩時間の基本的なルールまとめ
    1. 1.1.基本事項①休憩時間が必要になる労働時間
    2. 1.2.基本事項②一斉付与※一定の業種を除く
  2. 2.休憩のタイミング:労働時間の最後に休憩はNG
  3. 3.労働時間と休憩時間の関係
    1. 3.1.世の中の休憩時間(実態調査)
    2. 3.2.休憩時間の長さ
    3. 3.3.休憩時間の分割
  4. 4.実務上の注意点
    1. 4.1.手待時間:休憩中に仕事するのはNG
    2. 4.2.労働時間になっている休憩時間
  5. 5.休憩時間中はしっかり休憩していただきましょう


休憩時間の基本的なルールまとめ

まずは「休憩時間」についての基本的な運用や定義を確認していきたいと思います。


基本事項①休憩時間が必要になる労働時間

労働基準法(第34条)では「休憩時間」について、下記のように定めています。

「使用者(会社)は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」

そして「使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない」(同条3項)としています。
これが、世の中一般的に認識されている「休憩時間」(休憩)のもとになっています。

「休憩って1時間与えなくても45分でも50分でもいいんだよね?」とか「ランチ休憩の他に夕方も休憩あるから、うちの会社は1時間15分で設定しているよ」など聞かれることもありますが、すべては上記の労働基準法をもとに認識、運用されているものとなります。

簡単に整理すると下記のようなものとなります。


  1. 1日の労働時間が6時間以下であれば休憩を与える必要はない
  2. 1日の労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分の休憩が必要
  3. 1日の労働時間が8時間を超える場合は、少なくとも1時間の休憩が必要

一般的な休憩時間については、お昼時間帯を中心に労働時間が休憩取得前後で概ね均等となるくらいの時間で設定されるケースが多くなっていると思います。(下記参照)


なお「休憩時間」は、労働時間の途中に与えなければならないため、労働時間の始めや終わりに与えることはできないこととなっています。(下記参照)


基本事項②一斉付与※一定の業種を除く

「休憩時間」には上記内容とともにもう1つ基本的な事項があります。
日々、仕事をしているうえでは特段意識をせずにいる方が多いと思いますが、いわゆる「一斉付与」(労基法34条2項)という原則があります。

就業規則などに記載されていることが多い「休憩時間」ですが、一般的には「12時~13時」「13時~14時」の60分などとなっている場合が多いです。
これは「一斉付与」に基づいて決めているものとなります。(一定の業種を除く)

なお、シフト勤務制など日々の業務をするうえでは決められたとおり取得できないことも想定し一斉付与をしなくても良いこととなっていますが、労使協定などを締結している必要がありますので運用面については一度確認をされるとよいでしょう。

休憩のタイミング:労働時間の最後に休憩はNG


上記で述べたとおり、休憩時間は労働時間の途中に与えることになるのですが、実務においては、どうしても思ったとおりに取得できず、後ろにズレこんでしまうケースもありますよね?

例えば1日の所定労働時間6時間(休憩なし)の者に対して残業させる必要がある場合は、どのタイミング(残業前か残業の途中か)で休憩を与えればいいかという問題が生じます。

行政解釈によると「6時間を超える場合とは、始業後6時間経過した際少なくとも45分の休憩を与えなければならないという意味ではなく、その労働時間の途中に45分の休憩を与えなければならないという意味であり、休憩時間の置かれる位置は問わない」とされています。(厚労省労働基準局編 労働法コンメンタール)

そのため、残業の途中に45分以上の休憩を与えていれば労基法違反にはならないというものです。再度確認ですが「結果的に労働時間の最後に休憩」という状態はNGですのでその点だけご注意ください。

労働時間と休憩時間の関係

実務的な側面から補足すると、ここでいう「労働時間」とはあくまでも実労働時間となるため、1日の所定労働時間が7時間(休憩時間45分)のような会社でも、仮に残業時間が2時間あると所定の休憩時間45分に別途15分を追加して与える必要があるということになりますので休憩時間を1時間未満として設定している会社は注意が必要となります。

ちなみに、半日単位の有給(半休)を取得した社員が、午前または午後に数時間勤務することとなる場合は、その日の実労働時間でみるため、6時間を超えていなければ休憩時間を与える必要はありません。

世の中の休憩時間(実態調査)

上記より「休憩時間」の基本的な事項は理解できたと思いますので、世間一般ではどの程度の時間を設定しているのか少し触れておきたいと思います。

都内の従業員規模30人以上の3,000事業所に対して実施した「労働時間管理に関する実態調査 平成29年(東京都産業労働局)」によれば、1日の休憩時間は「1時間」が75.9%と最も多く、次いで「45分~1時間未満」が11.0%となっています。

また全ての業種で「1時間」が最もおおく6割以上占めており、先に述べた時間外労働などを考慮しても「1時間」としておくほうが、運用上はやりやすいものと思われます。

ただし、飲食や小売など一定の長い拘束時間を伴い現場での接客が生じるような職種の場合は、1時間を超えた設定も見られるので、この辺りは現場の負荷やシフトなどを考慮して設計するのが望ましいと思われます。

休憩時間の長さ

ここで1時間を超えた設定のお話が出てきたので「休憩時間の長さ」についても触れておきます。
先の基本事項で記載したとおり、労働時間に合わせて45分または1時間以上の休憩を取得できていれば法律的な部分において、問題は生じないこととなります。言い換えると、最低限取れていれば多くの休憩時間を設定しても法的な問題は生じないというものです。

例えば、ランチと夜の2部制で営業する飲食店などで10~14時まで4時間勤務し、その後18時まで休憩(4時間)、18時~22時まで再度4時間勤務するということも理論上は可能ということになります。

ただし、現実的にはほぼ1日中の拘束となり、労働者の生活時間を圧迫することにもなるため、恒常的にしないなど十分に運用面を検討したうえで導入の可否を決定したほうがよいでしょう。


休憩時間の分割

続いて、休憩時間の取得方法についても触れておきましょう。
世の中には色々な職種や勤務形態もある中、必ずしも休憩時間を一気に取得せずに数回に分ける運用方法などもあると思います。

これについて、休憩時間を分割して付与すること自体は労基法に抵触することはありません。

そのため、90分休憩を3回に分けて各30分ずつ取得することや1時間休憩を45分と15分の2回に分けて取得することなども運用としては許容されることとなります。(図表参照)

ただし、分割付与が許容されるからといって、1時間休憩の場合でも「15分を4回」「10分を6回」などにすることは、労働者が休憩できないとみなされることもあるため、適切な配分になるよう現場での意見などをもとに決めていただくのが賢明です。

実務上の注意点

これまでは法律的な要素をベースに運用する際の代表的なポイントなどをあげてきましたが、実務で色々な運用実態を見ていると、幾つか注意すべき点もあります。

手待時間:休憩中に仕事するのはNG

よく労働時間と休憩時間で争点になるものが、いわゆる「手待時間」と言われるものです。
冒頭でも述べましたが「休憩時間」とは、自由に利用させなければならないものです。
そのため、休憩といいつつも、電話番をさせている、フロントで客待ちなどをしているものは労働時間とみなされる風潮がかなり強くなっています。

昨今では飲食店などで「ワンオペ勤務」と呼ばれるように人材不足から現場のシフトに1人しか入っていないケースも散見されます。このようなシフトでは、結果的に休憩を取れていないとされることも多々あります。

上記のように休憩時間となっていた部分が労働時間とみなされると、今度はそこから未払賃金の話に派生することとなります。行政なども非常に厳しく見てくる部分ですので、端から見ても「休憩」と見られるような体制にしておくべきでしょう。

労働時間になっている休憩時間

上記の手待時間とは異なるものとして、労働時間になっている休憩時間などもあります。

例えば、拘束時間を9時~19時の10時間で所定労働時間8時間、休憩2時間としている場合であっても実態を見ると、休憩は1時間程度もとれておらず、結果として労働時間が9時間を超えていたなどです。

まだ取得できていない休憩時間部分を労働時間としてその対価を支給していれば問題は生じませんが、こういった場合は、支給されていないケースが圧倒的に多くなります。

「休憩時間の長さ」の部分でも触れましたが、あまり実態と乖離のある休憩時間の設定をしていると本当に取得できているのか?という視点で勤怠管理方法などを調査されるおそれもあります。

最近では、大手飲食チェーンの店舗にて、朝から深夜まで15時間以上の拘束をしており、途中で数回に分けて休憩を取らせているという見せ方をしていましたが、実態はすべて労働時間となっていたなどということも起きています。休憩時間の長さに制限がないことを逆手にとって、悪しき運用をしていると会社の評判にも影響が出ますので、実態に則しているかは定期的に確認をしておいたほうがいいでしょう。

実際に上場などを目指している会社の場合は、審査の際に休憩時間の長さや取得のタイミングなどもチェックされる部分ですので十分注意しておくべきでしょう。

休憩時間中はしっかり休憩していただきましょう

当たり前に扱っている「休憩時間」も1つ1つの論点や注意点をまとめると結構なボリュームになると思います。

「休憩時間」は自由に取得できるものだから大丈夫だろう。ではなく、一歩間違えると労働時間にすり替わる要素を持っています。

日々の業務運営においては、個々人の裁量などを比較的優先しているため、仮に所定どおりの休憩が取れていなくても、すぐにトラブルになるケースは稀ではありますが、取れていないことについて会社からの恣意性が高いなど悪質性が見られる場合は注意が必要です。

本来、業務効率化や個々のパフォーマンスをあげるための休憩時間ですが、会社の管理方法や運用実態によっては危険な要素にもなりえますので、これを機に見直してみてはいかがでしょうか。


もし労働時間や休憩時間などの管理方法、運用がしっかりできているかどうか確認したい!といったご要望やご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。

  社労士相談お問い合わせフォーム HRhacker



RYOTA
RYOTA

現役の上場企業人事/社会保険労務士 企業内・外の視点を持ち合わせ、労務管理を常に会社目線で考え最適解を導き出し、労働法令を超攻撃的に使うことを得意とする。 「上場企業人事×社会保険労務士×IPO経験者×特例子会社代表取締役×リストラコンサルタント」という5つの顔を持ちながら、 株式会社Scrap&Buildの代表取締役も務め、執筆の他、企業顧問、研修講師、IPOコンサル、リストラなど最前線で活動中。


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