
電気工事士を採用するために今すぐ始められる小さなコツ
今、最も採用が難しいとも言われる建設業界。
復興需要やオリンピック需要など景気の影響を受けやすいことに加えて、近年では求職者の価値観も多様化するなど、より難易度が上がっています。
また数年後には業界を支えるベテランの方々が多く引退をしてしまう中で、若年層の入職者も大幅に減少していることから技術継承についても問題視されています。
建設系の資格を持つ人材は今後もより貴重な存在となっていきます。
本日はその中でも電気工事士に焦点を絞り、「今すぐ始められる小さなコツ」を業界の背景から採用が上手くいっていない会社の特徴を交えてお伝えいたします!
目次[非表示]
- 0.1.電気工事士の採用が年々難しくなっている理由
- 0.1.1.人材需給のギャップがより顕著に
- 0.1.2.仕事探しの方が多様化してきている
- 0.2.電気工事士の採用に苦労する会社の特徴
- 0.2.1.ホームページに採用ページがない
- 0.2.2.人材紹介や求人広告以外の採用手法を知らない
- 0.2.3.求人票にこだわりがない
- 0.2.4.人事が兼務で忙しい
- 0.3.電気工事士を採用するためのポイント3選
- 0.3.1.まずは自社を知ってもらう
- 0.3.2.「求職者が知りたいこと」を伝える
- 0.3.3.「他とは違う」をハッキリと伝える
- 0.4.今すぐ始められる小さなコツ
- 0.4.1.無料で使える求人媒体を利用する
- 0.4.2.「ジョブディスクリプション」を作成する
- 0.4.3.経営理念を語る
- 0.5.採用のプロに相談してみては?
電気工事士の採用が年々難しくなっている理由
人材需給のギャップがより顕著に
電気工事士の過不足については一種・二種ともに復興需要やオリンピック需要により2018年頃から既に不足感が表れ始めています。また、今後の予測としては電気工事の減少を加味しても、高齢者の引退等により予測される工事量に大して電気工事士が大幅に不足していくことが考えられています。
経済産業省の見通しとしては2020年頃からより顕著になると発表されており、目下、人手不足が進行している渦中にいることが分かります。中でも、第一種電気工事士に関しては2045年には24,000人程度不足する見通しとなっています。
このことからも各企業間での電気工事士をめぐる獲得競争はより熾烈になっていくことがうかがえます。
出典:経済産業省「電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について
仕事探しの方が多様化してきている
「働き方改革」という言葉もすでに馴染みのあるキーワードとなっているように、求職者にとって労働に対する価値観が大きく変化しており、それに伴い採用市場ではSNSを活用した採用など様々な採用手法が台頭しています。また、有効求人倍率も高水準を維持している中で、各業界で企業が「選ぶ採用」から求職者に「選ばれる採用」へと変化しており、産業を跨いで人材獲得の競争が行われています。
その中で、電気工事関係の職に就く方の電気工事の認知のキッカケは「親族等、身内に電気工事士がいた」が53%を占めており、他の業界に後れをとっていることは否めません。今後の担い手となる若年層の囲い込みが他産業と比べて相対的に難しくなっていることが分かります。
出典:経済産業省「電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について
電気工事士の採用に苦労する会社の特徴
ホームページに採用ページがない
これまで営業・採用ともにオフラインで完結することも多かった建設業界ではホームページがない会社も珍しくありません。しかし、今後の人手不足から逃れられない環境の中で、ホームページが無いことは致命傷となりかねません。仕事探しはオンラインで行うことが主流となり、求職者の8割がホームページを利用して仕事探しをしていますので、採用情報を盛り込んだページが用意されていることが必要条件となりつつあります。求職者がせっかく自社に興味を持ってくれたとしても、採用に関する詳しい情報が得られなければ応募には繋がらないということは容易に想像がつくかと思います。
人材紹介や求人広告以外の採用手法を知らない
求人市場では長らく求人広告が重宝される時代が続いておりました。今でも有効な採用手法の一つではありますが、採用=求人広告といったイメージを持たれている方も多いかも知れません。しかし、近年では求人媒体を介さずに企業から求職者へ直接アプローチ(ダイレクトリクルーティング)をしたり、自社社員からの紹介(リファラル採用)を促進する等、様々な採用手法が用いられるようになっています。企業によりマッチする採用手法は異なりますが、最適な手法がとられていないことも往々にしてあります。
求人票にこだわりがない
求人票は求職者にとって採用情報を知ってもらう為の重要なきっかけとなります。業務内容や契約期間など最低限記載が必要な項目に加えて、自社の魅力を伝えることで求職者の興味をひくチャンスとなり得ます。しかし、同業他社と変わらない内容を記載してしまったり、魅力が伝わり辛い内容になってしまっているケースが散見されます。この求人票の内容は応募に大きな影響を与えますので、改めて目を向けてみることも大切でしょう。
人事が兼務で忙しい
採用の課題を解決したいと考えていても、採用業務を営業やその他の業務と兼務されている会社も少なくありません。採用に伴う業務だけでも多岐にわたる中で、現場で営業数字を追うことを両立する必要がある環境で採用を成功させることは簡単ではないでしょう。会社として採用に対する取組みを強化される場合は担当者を専任することや採用業務の一部をアウトソースすることも有効な打ち手となります。
電気工事士を採用するためのポイント3選
まずは自社を知ってもらう
求職者が自社のことを認知してから入社するまでの採用プロセスを切り分けると、以下の5つに分類されます。
- 認知(会社の存在を知る)
- 興味・比較・検討(興味を持ち、他社と比較・検討をする)
- 応募・選考(検討の結果、求人に対して応募する)
- 検討(選考を通じて改めて自身にマッチするか検討する)
- 入社(入社を決意する)
各項目でいかに求職者と接点を持ち、魅力的な仕掛けを作るかが採用・定着までのキーとなりますが、まずは認知を拡げることが応募数を増やすために重要となってきます。上述した採用ページを充実させることや、広告の利用、SNSの活用など多くの施策が考えられますので、自社に最適な手法を取り入れましょう。
「求職者が知りたいこと」を伝える
求職者からの認知が獲得できた後には、如何に興味をひくかが応募への決め手になります。求人票やホームページ上では「会社が伝えたいこと」に偏ってメッセージが発信されていることが多いですが、こと採用においては求職者の目線に立ち情報を発信することも心掛けましょう。どんなビジョンやミッションを持っているのか、社内はどんな雰囲気なのか、給料はいくらなのか等をより具体的に伝えていくことが自社にマッチする人材の採用につながります。
「他とは違う」をハッキリと伝える
上記の「求職者が知りたいこと」に含まれる内容かもしれませんが、電気工事士の採用の場合には特に同業他社との違いを明確に発信する必要があります。職務内容が他社と似通っているにもかかわらず自社特有の魅力を打ち出せない場合、給料などの条件面だけでの競争となることが多くなってしまいます。一方で、研修制度(制度まで整備されていなくとも、どのように技術を磨いていくか)や中長期的な会社の成長戦略など自社オリジナルの取り組みが、求職者にとっては魅力的な一面となっていることもあります。
今すぐ始められる小さなコツ
無料で使える求人媒体を利用する
電気工事士の採用にあたりハローワークに求人情報を掲載されてきた方が多いかと思います。ハローワークも有効な採用手法の1つではありますが、CMでお馴染みのIndeedを始めとした無料で使える求人媒体も利用することをおすすめします。おすすめする理由としては利用者数の多さにあります。大手の有料求人広告のユーザー数が700万人程度に対してIndeedのユーザー数はその3倍以上の2,300万人以上となっており、活用次第では認知拡大に大きく貢献することでしょう。
「ジョブディスクリプション」を作成する
こちらはあまり聞き馴染みのない言葉かもしれません。ジョブディスクリプションとは職務の内容を詳しく記述した文書のことを指します。電気工事士を求める多くの会社が職務内容について「建設現場内での配線工事」や「施工管理・監督業務全般」などの記載をされていますが、より具体的な業務内容に加えて入社後のポジションや期待される役割、業務の目的や意義等を詳細に記載することで求職者の希望する条件に当てはまっているかが明確にイメージ出来るようになります。また、事前に明確な情報があればある程、入社後のミスマッチを防ぐことにもつながります。
経営理念を語る
電気工事業界の3年後離職率は職場環境や勤務体系を理由に20~40%と他産業に比べて高い数値となっています。その中で入社後も活躍できる人材の獲得に必要となるのがこちらの項目です。電気工事は社会的に大きな需要があり、生活に欠かせない職種だからこそ似通った事業内容の会社は多く存在します。その中でどのような経営理念のもとで社員が働いているのか、経営層だけでなく社員ひとりひとりが経営理念を語れるかというのは大きな差別化ポイントになります。電気工事を通じてその会社が成し遂げたい・作り上げたい未来はどんなものなのか。これらが求職者のビジョンや働くことに対する価値観と共感できれば自社にマッチした電気工事士の採用は成功に近づくでしょう。改めてこれからの未来を見据えたビジョンの策定や理念浸透に着手してはいかがでしょうか。
採用のプロに相談してみては?
電気工事士が不足していく背景から具体的に取組み可能な小さなコツを解説しましたが、採用に慣れていない場合は少し難しく感じる内容もあったかも知れません。
また、今回はお伝えすべきポイントを絞って解説しましたが、実際に運用を始めてみるとこれら以外の障害に出くわすことも多くあります。そんな時は採用を専門とする企業に相談することをおすすめします。最初の1歩を踏み出す場合、専門家に依頼することで結果的に費用・労力ともに抑えられることもあります。