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身元保証書で人的トラブルを防止!今すぐ入社時の提出書類を見直そう!

突然ですが・・・あなたの会社では、新卒・中途に関係なく入社するとき・・・「どのくらい書類を提出してもらっていますか?!」


雇用契約書だけですか?

住民票はとっていますか?

反社チェックはしていますか?


あげればきりがないかもしれませんが・・・なんとなく大丈夫でしょ。という感覚で採用から入社まで眺めていませんか?!

入口がユルユルの会社って、やっぱりどっか抜けている印象が強く、人事がちゃんとしてないのかなっていう印象を与えてしまい、結果的に人的トラブルも多い印象を受けませんか?

そうならないように採用した方からしっかり書類をいただいて、入り口も堅くしていきましょう!

目次[非表示]

  1. 1.採用時に貰うべき書類のフルセット
  2. 2.身元保証書とは?
    1. 2.1.身元保証書の必要性
    2. 2.2.身元保証人の責任
      1. 2.2.1.(1)保証期間
      2. 2.2.2.(2)賠償額
      3. 2.2.3.(3)その他
    3. 2.3.賠償額の上限※2020年4月より一部運用変更あり
  3. 3.身元保証人の賠償額の設定方法
    1. 3.1.賠償金額の設定例
    2. 3.2.よく見落としがちな運用面の箇所とケア
  4. 4.よくあるお問い合わせ:身元保証人がいない場合の対処法
  5. 5.身元保証書の整備、運用面を見直そう


採用時に貰うべき書類のフルセット

まず、入社時に授受する書類をあげてみます。

  • 雇用契約書(労働条件通知書)
  • 入社時誓約書
  • 機密保持誓約書
  • 反社会的勢力に該当しない誓約書
  • SNSに関する誓約書
  • 住民票(本人)
  • 身元保証書(+身元保証人の住民票、印鑑証明等)
  • 身分証明書(公的機関が発行するもの)


もちろんすべて区分されていなくても、上記内容が何らかの形で網羅されていればいいですが、結構このあたりが整備されていない、もしくはそもそも取っていないなどの運用が見られます。

すべての書類をとったから、トラブルが100%防げるものではないのですが、やはり会社としては、きちんとやるべきことをやる。という体制作りは必要ではないでしょうか?!

特に就業規則には記載されているけど、実務では取っていません。というケースが非常に多いです。ルールと運用がかみあってこそ、効果が出るものですので定期的に見直しをお勧め致します。



身元保証書とは?

今回は上記書類のうち法改正の影響もある「身元保証書」に触れていきたいと思います。

先述した書面の中で、どの企業でも比較的取得するようにしている「身元保証書」ですが、端的にまとめますと、万が一従業員が故意または重大な過失等により、会社に損害を与えた場合、従業員本人自身が賠償しきれないとき、その賠償について代わりに責任を負う(=従業員の身元保証人になる)ことを表明する書面です。


身元保証書の必要性

身元保証書については、身元保証人に損害を賠償させることを1つの目的としますが、そのほかには「身元保証人になってくれた人に迷惑をかけられない」という思いを生じさせ、結果的に社内での不正行為等を抑止させるという期待も込められており、特に重大な取引や金銭を取り扱う職種・業務などでは一定の効果があると考えられています。


なお、一般的には身元保証人は1人となっていることが多いですが、上記のような職種や社会的な信用性を高く保持すべき企業においては、身元保証人を2人立てさせることもあるようです。


身元保証人の責任

この身元保証書というものは、身元保証人に過酷な結果とならないよう「身元保証に関する法律」(身元保証法)により保証人の責任等は限定されています。

(1)保証期間

期間を定めない場合は「3年」となり、期間を定めた場合も「5年」が上限となります。

実務的な運用では、最大期間の5年を取るケースが多くなっています。

なお、保証期間が満了するタイミングで更新は可能ですが、自動更新は無効とされますので、再度身元保証書を取得する必要があります。


(2)賠償額

身元保証人の責任をめぐり紛争になった場合は、会社の過失有無や従業員の任務等を考慮したうえで裁判所により定められます。実際の判例等を見ても、損害の全額について請求が認められることは困難で、多くても50%程度までで決定されているものが多くなっています。


(3)その他

上記の他、従業員本人が業務上不適任・不誠実であり身元保証人の責任が発生するおそれがあるときは、会社は遅滞なく身元保証人に通知する義務があることや身元保証人が自ら身元保証契約の解除をすることができることとなっています。


賠償額の上限※2020年4月より一部運用変更あり

この「身元保証書」ですが、およそ120年ぶりの民法改正に伴い、2020年4月から一部運用が変わっています。先に述べた保証期間や通知義務などは従来どおりですが改正に伴い「賠償額の上限」を明記することが必要になりました。

従来の身元保証書の内容について、ほとんど賠償額「●●●万円」などの記載はなかったはずです。そのため、2020年4月1日以降に従来どおりの上限の定めがない書式を使用している場合は、身元保証書そのものが無効(何かあった際、保証人に賠償請求などができない)となる可能性があります。

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身元保証人の賠償額の設定方法

実務者の方からすると、これまで特に気にしていなかった賠償額の設定などが出てきて「いったい幾らにするのがいいのだろうか」「他社ではどう運用しているのだろうか」など考えることと思います。過去の事例などから、身元保証人に全額の賠償が認められることはほぼないとはいえ、会社としては然るべき額を設定しておきたいところでしょう。


結論から申し上げますと・・・


「これに対しての明確な解は無い!」



・・・と思います。(期待させておいて申し訳ないです汗)

が、あまりに高額すぎると身元保証人が躊躇し、低額すぎるとリスク回避の観点から企業としてどうか問われることになるので、下記のような考え方(切り口)をもとにした組み合わせなどで検討いただければ良いと考えます。


  1. 職種に応じて賠償金額を変更する:高額な資金移動や融資、不動産売買、高価な現物(金、ダイヤなど)を大量に売買をする場合などは、一般的な現業や事務職とは異なる金額設定をする
  2. 年収またはレイヤー(役職など)に応じて賠償金額を変更する:会社内での給与レンジまたはレイヤーなどに応じて金額設定をする(責任や権限に応じた設定にする)
  3. 雇用形態(正社員、契約社員/パート)応じて賠償金額を変更する:雇用形態により金額設定をする。

なお、額面記載時に「月額給与の●ヶ月分」や「入社時の●ヶ月分」などとすると、昇給時などに当初の想定金額と変わることとなり、曖昧な要素が増えるため、運用するにあたっては、明確に「●●●万円」と記載するほうがよいでしょう。


あまり細かく分けすぎると運用が煩雑になるので2,3パータンくらいにとどめておくのが賢明と思います。なお、参考までに一般的には月額給与の12~24ヶ月分の間程度で設定されることが多いようです。


賠償金額の設定例

いわゆるホワイトカラー中心の企業を想定したものです。ご参考ください。


区分
賠償額
正社員1(給与月額40万以上)
5,000,000円
正社員2(給与月額40万未満)
3,000,000円
契約社員・アルバイト
500,000円


よく見落としがちな運用面の箇所とケア

上記の賠償額設定とは別に運用面でよく見落としがちな部分についても併せて記載いたします。


  1. 入社する当人が身元保証人箇所の代筆をしていないか
    →人事側で筆跡確認を徹底、また身元保証書に代筆禁止を明記し、類似している場合には確認して再度提出をさせる(入社時点で重要な書類に代筆してくる者は要注意です)
  2. 本当に身元保証人が存在しているのか
    →身元保証人の住民票原本や印鑑証明書の提出まで義務付ける(保証人が実在するか確認でき、遠方の場合も所在が明確になるためです)

本人が勝手に両親の名前を記載しているケースや適当な親族の名前を記載している場合などは、身元保証人が適切な理由を受けて承諾していないため、賠償請求ができないことも想定されます。

後々トラブルにならないよう運用面のケアは非常に重要なため、適切に管理しておきましょう。


よくあるお問い合わせ:身元保証人がいない場合の対処法

実務面において、稀にあることですが「身元保証人が立てられない」「身元保証人がいない」などのケースもあると思います。

担当する職務内容や責任範囲などの個別事情によりますが、会社として身元保証書を取り付けることの必要性が相当程度あり、また採用時(内定時)の条件に身元保証書の提出を義務付けておけば、採用取消が認められる可能性は高いと考えられます。


また、身元保証書の提出が採用の条件となっているにもかかわらず、入社後も一定期間、身元保証書を提出しないことを理由とする解雇が認められた裁判などもありますので、この辺りは状況を考慮したうえで適切な対応が求められる部分です。


ただし、親族が一切いない場合や諸外国から日本に1人で来ている方などは、本人の適正性に問題がなくても身元保証人が立てられないケースも考えられます。

上記の職務内容や責任範囲と照らし合わせて

  • 取らなくてもいい運用方法を持っておく
  • 入社する部門長へ説明の上、賠償額の範囲なども一部見直して身元保証人になってもらう

など柔軟な対応も取り入れておくと良いと思います。


なお、身元保証人を立てる必要があるが、どうしても立てられない場合は、損害保険なども活用しておくと一定程度のリスクヘッジにはなると考えます。


身元保証書の整備、運用面を見直そう

最後になりますが、身元保証書を採用時に取得したものの、それ以降は更新をしていない企業や民法改正前の書式を今でも同様に使っている企業が見られますので、この機会に身元保証書の整備と運用について、見直しをしてみてはいかがでしょうか。


実際に身元保証人にまで請求が及ぶケースは通常ほとんどありえないとは思いますが、日頃からの管理体制やガバナンス強化という面から考えれば・・・


「たかが、書面。されど、書面」


という認識で日々の入社書類管理も大切な仕事になります。

「知ってはいたけど、取ってませんでした」

なんて、ことにならないよう十分お気を付けください。


というわけで、身元保証書をすぐ作成して提出していただけるように&見直しできますよう

『民法改正版の身元保証書のテンプレート』をご用意いたしました!

無料でダウンロードできますので、お気軽にご活用ください。

RYOTA
RYOTA

現役の上場企業人事/社会保険労務士 企業内・外の視点を持ち合わせ、労務管理を常に会社目線で考え最適解を導き出し、労働法令を超攻撃的に使うことを得意とする。 「上場企業人事×社会保険労務士×IPO経験者×特例子会社代表取締役×リストラコンサルタント」という5つの顔を持ちながら、 株式会社Scrap&Buildの代表取締役も務め、執筆の他、企業顧問、研修講師、IPOコンサル、リストラなど最前線で活動中。


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